Q1. 石灰石って何?いつごろどのようにしてできたの? Q2. 石灰石鉱山は日本にいくつ、またどこにあるの? Q3. 石灰石はどのように採掘されるの? Q4. 石灰石の年間生産量と用途を教えてください Q5. 日本の石灰石はなぜ高品位なの? Q6. 石灰石が公害防止・環境浄化に役立つって本当? Q7. 石灰石は食品にも使われているって本当? Q8. ニワトリや牛も石灰石を食べるの? Q9. 紙にも石灰石が入っているの? Q10. 「石灰石」と「石灰」は同じもの? Q11. 「石灰石」と「大理石」は同じもの?
Q1. 石灰石って何?いつごろどのようにしてできたの? A1. 石灰石は、主に方解石(炭酸カルシウム・CaCO3)という鉱物から出来ている岩石です。日本列島に分布している石灰石鉱床の多くは、今から2〜3億年ほど前に当時の赤道付近の海でサンゴや有孔虫など炭酸カルシウムの殻を持つ生物が礁をつくり、それが地球の地殻プレートの移動と共に西方に移動して現在の日本列島付近の海溝へ沈み込み、大陸側のプレートに衝突・付加したと考えられています。詳しくは こちら をご覧下さい。
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Q2. 石灰石鉱山は日本にいくつ、またどこにあるの? A2. 日本では現在約250の石灰石鉱山が稼動しています。その生産規模は1千万トン以上の大規模な鉱山から年間数万トン以下までとさまざまですが、生産量上位の20鉱山で全国の70%程度を生産しています。生産量を県別に見ると、大分県が最も多く全国生産量の19%を占めており2位以下は山口県(11%)、高知県(11%)、福岡県(10%)と続きます(資源エネルギー庁鉱業課資料による)。鉱山の分布は生産量の多い西日本だけでなく、北海道、東北、関東から沖縄までの各地に広く分布しています。
Q3. 石灰石はどのように採掘されるの? A3. 採掘方法としてはほとんどの鉱山で露天採掘でのベンチカット採掘法が採用されています。ベンチカット採掘法ではまず、穿孔機で発破孔を穿孔し、発破によって岩盤を起砕します。発破により起砕された石灰石は、ホイールローダや油圧ショベルによってダンプトラックに積みこまれ立坑まで運搬されます。 鉱山で使用される重機類は高能率化のために大型化が進められています。ホイールローダという重機で最大クラスのものはバケット容量18〜20m3、高さ7m、長さ17mにもなる巨大なものです。このクラスでは1回に通常の10tダンプで3台分に当たる鉱石を積み込むことができます。一方、石灰石鉱山で使用されるダンプトラックは積載量46〜180トンのクラスが多く使用されており、例えば100トンクラスのダンプでは幅6.5m、長さ12m、タイヤの直径は3m近くもあります。 18m3ホイールローダから 180tダンプトラックへの積み込み ホイールローダの巨大なバケット 巨大なダンプトラック (100tクラス) 石灰石の採掘、生産工程について詳しくは こちら をご覧下さい。
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Q4. 石灰石の年間生産量と用途を教えてください A4. 石灰石は全国で年間約1億7千万トン生産されています。国内出荷量1億6千7百万トンのうち約半分の47%(7千9百万トン)がセメント用に使われており、コンクリート骨材用として21%の3千5百万トン、鉄鋼用が13%で、以下道路用5%、ソーダ・ガラス0.6%、その他14%となっています(資源エネルギー庁鉱業課資料による)。
Q5. 日本の石灰石はなぜ高品位なの? A5. 日本列島に分布している石灰石鉱床の多くは、今から2〜3億年ほど前に当時の赤道付近の海でサンゴや有孔虫など炭酸カルシウムの殻を持つ生物が礁をつくり、それが地球の地殻プレートの移動と共に西方に移動して現在の日本列島付近の海溝へ沈み込み、大陸側のプレートに衝突・付加したと考えられています。このようにプレートの移動によって出来た地質体を「付加体」と言いますが、付加体中の石灰石は広い外洋で形成されたために陸源物質を含まず、大陸縁辺で形成された石灰石よりも炭酸カルシウムの純度が高いという特徴があります。
Q6. 石灰石が公害防止・環境浄化に役立つって本当? A6. 本当です。中学校の理科実験で習ったように石灰石に塩酸をかけると反応して二酸化炭素の泡が発生します。これは石灰石の主成分である炭酸カルシウム(CaCO3)が酸を中和する性質があるためです。このような性質から、様々な場所で公害防止・環境浄化のために石灰石が利用されています。 例えば火力発電所などの炉で石炭や重油を燃やした後の排煙は有害な亜硫酸ガスを多量に含み、そのまま大気中に放出することはできません。この排煙と石灰石の粉末(タンカル)を排煙脱硫装置内で反応させることにより、亜硫酸ガスを取り除くことができます。また、いろいろな工場や鉱山から排出される酸性排水の中和にもタンカルや石灰が使用されています。 このように、石灰石は私たちの生活環境を保つ上でも欠くことのできない重要な鉱物資源です。 火力発電所の 排煙脱硫装置 鉱山廃水の中和処理施設
Q7. 石灰石は食品にも使われているって本当? A7. 本当です。石灰石は人体に安全で、カルシウム分そのものが栄養素であることから、以下のようなさまざまな食品の加工、添加用に使用されています。 石灰石が使用されている食品の例 (1)石灰石粉末(タンカル)として パンではイースト菌がよく活動できるPHに調節するため、また、クラッカーでは低温で発酵を速め、製品の腰を強くするためタンカルを使用します。ビスケットでは型枠からの離れをよくするため、また、めん類、マカロニ類では小麦粉中の酵素の活性を抑え、製品の変色、変質を防止するためタンカルを使用します。米菓では焼むらを無くし、色を白く、成形し易く、また、糖衣菓子や薬品類では糖衣面が美しく仕上るよう、下がけにタンカルを使用します。チョコレートでは油分の浮きを抑えるため、味噌ではこうじの酵素力を強めるため、更に漬物では酸味の中和のため、水産練り製品では腰を強く、色を白くするためタンカルを使用します。加工塩では小さい孔につまらず、出しをよくするためタンカルを使用します。 (2)石灰として 精糖用としてさとうきびや甜菜から絞られた粗糖汁の中の不純物を除去するため消石灰を使用します。 こんにゃく製造時にはこんにゃく溶液を凝固させるため消石灰を使用します。豆乳の凝固剤として石灰から作った硫酸カルシウムを使用します。その他、ジュースの酸味調整やクリーム、バター製造時の殺菌と中和のため石灰を使用します。 また添加用ではありませんが、お菓子や海苔などに同封されている乾燥剤は生石灰ですし、生石灰の発熱によってお酒やお弁当を温めるパッケージもよく知られています。
(1)石灰石粉末(タンカル)として パンではイースト菌がよく活動できるPHに調節するため、また、クラッカーでは低温で発酵を速め、製品の腰を強くするためタンカルを使用します。ビスケットでは型枠からの離れをよくするため、また、めん類、マカロニ類では小麦粉中の酵素の活性を抑え、製品の変色、変質を防止するためタンカルを使用します。米菓では焼むらを無くし、色を白く、成形し易く、また、糖衣菓子や薬品類では糖衣面が美しく仕上るよう、下がけにタンカルを使用します。チョコレートでは油分の浮きを抑えるため、味噌ではこうじの酵素力を強めるため、更に漬物では酸味の中和のため、水産練り製品では腰を強く、色を白くするためタンカルを使用します。加工塩では小さい孔につまらず、出しをよくするためタンカルを使用します。 (2)石灰として 精糖用としてさとうきびや甜菜から絞られた粗糖汁の中の不純物を除去するため消石灰を使用します。 こんにゃく製造時にはこんにゃく溶液を凝固させるため消石灰を使用します。豆乳の凝固剤として石灰から作った硫酸カルシウムを使用します。その他、ジュースの酸味調整やクリーム、バター製造時の殺菌と中和のため石灰を使用します。 また添加用ではありませんが、お菓子や海苔などに同封されている乾燥剤は生石灰ですし、生石灰の発熱によってお酒やお弁当を温めるパッケージもよく知られています。
Q8. ニワトリや牛も石灰石を食べるの? A8. ニワトリや牛などの家畜に与える飼料には粉末にした石灰石(タンカル)が配合されています。ニワトリの卵の殻の成分は95%以上が炭酸カルシウムですので、カルシウム不足防止のために配合飼料にタンカルを添加しています。また、牛は牛乳を分泌するために多くのカルシウムを摂取する必要があり、タンカルを牧草地に撒布したり飼料に配合します。 養鶏の飼料にタンカル添加 牧草地へのタンカル撒布
Q9. 紙にも石灰石が入っているの? A9. 紙の主材料はパルプですが、石灰石の粉末(タンカル)も中性抄紙の原料として使用されています。これは、紙の保存性向上と共に不透明度、白色度、インキ受理性、平滑度、筆記特性などの改善のためです。このように紙の内部に原料の一部として使用される場合のほか、アート紙(カレンダーやポスターなど)の表面に塗工用顔料としても使用されています。 抄紙機
Q10. 「石灰石」と「石灰」は同じもの? A10. 石灰(せっかい)とは石灰石(化学組成CaCO3)から製造される生石灰(せいせっかい)と消石灰(しょうせっかい)の総称です。生石灰は石灰石を焼成炉で焼成したもので、主成分は酸化カルシウム(化学組成CaO)です。また、消石灰は生石灰に水を反応させた後、分級整粒して出来た白色粉末で、主成分は水酸化カルシウム(化学組成Ca(OH)2)です。すこしややこしいですが、石灰石(Limestone)と石灰(Lime)は違うものです(原料と製品の関係です)。 石灰焼成炉
Q11. 「石灰石」・「石灰岩」・「大理石」は同じもの? A11. 炭酸カルシウムを主成分とする岩石を岩石学的には「石灰岩」といいます。石灰岩を鉱業の対象として考える場合には鉱石名を「石灰石」といいますので、同じものを学問的に見るか鉱業の対象として見るかの立場によって呼び名が変わります。石灰石が地中の熱によって熱変成を受け再結晶化したものを大理石(Marble)といいますが、一般的には建築物の壁などに石材として使われる石灰石を大理石と総称しているため、熱変成を受けていない石灰石も石材として使われる場合は大理石と呼ばれる場合があります。